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[外食事情の変化]

 

中国、特に都市部においては世界中の外食チェーンとローカル飲食店が、激しい競争を繰り広げている。一方で、生活水準が年々上昇している中国人の外食事情も少しずつ変化をしているようだ。

日本に比べて外食比率が高いといわれている中国消費者は外食に行く際に、どのような要素で店を決定しているのか。味、価格、サービスに対し、何を求めているのか。もちろん、所得階層、一緒に食事をする相手との人間関係、また地方によっても千差万別である。

地元料理の老舗などで家族宴会

経済成長による住宅事情の変化、「一人っ子政策」の影響などで、中国の都市部では日本と同様、核家族化が急速に進んできた。結婚式や葬式、誕生日、旧正月の際のみ、家族全員が集まり、団欒パーティーで賑わう。このような光景は一年に2、3回しかないため、家族の最も重要な行事とされている。従来、団欒パーティーは家で行うのがほとんどだったが、所得の改善や便利さを求める志向で、90年代以降、外食傾向が鮮明になってきた。

オフィスビル内レストランなどで平日の昼食会

上海市内には、エリア別に特長をもつ産業集積地が形成されている。金橋の海外貿易加工区、張江のIT産業区、東大名路の物流企業集中地区、陸家嘴金融貿易区など、産業別の集中度がますます高くなってきた。金橋、張江のような都心部から離れる場所に拠点を置く企業はその施設の規模が大きく、オフィスと工場が一体となり、社員食堂も用意されている。一方、中心市街地にある企業で働く人は、節約志向で家から弁当を社内に持ち込むことが多いが、社内の同僚と一緒に近くのレストランで食べることも珍しくない。さらに、社内の人のみならず、近隣に同業他社の知人や前職会社の同僚、大学同級生などが勤めていることも多く、平日の昼食会はただの食事のみならず、人間関係の促進や情報交換の場としても利用されている。

「China Brand News 2012 SPRING」(2012年3月発刊)より抜粋